ローケツで仕上げた染帯。
生地は浜縮緬本古代、南久さんの製品です。
柄はアフリカン楕円紋。
地色は焦げ茶。
太鼓部分。
素描とロー置きを繰返した油絵の様な仕上がりになっています。

金の筒描で仕上げも入っています。
腹の部分もついでに。
ローケツの説明用に拡大図も。
前にも説明しましたが、ローケツには大まかに言って被りを見せる技法と友禅と糸目糊置きと同じ目的の堰出し技法の二つがあります。
今回は「かぶり」を見せる為の技法に付いて説明しましょう。
次の図をご覧下さい。

ロー筆の立ち居振舞いを制御する事は初心者にとって結構大変。
筆を立てたまま生地に持ってくるとポタポタ、ローを落してしまう。
もたもたしていると、熱の生き物であるローが冷えて生地に描けなくなってしまう。
この初心者の領域を脱した人が対象です。
ロー筆を置いたところと筆を走らせたところは蝋の厚みが違うのが分かるでしょうか?
蝋はその厚みで防染力が変わるのです。
上から染めた赤い色が蝋を通して生地に付いていますが、その濃度は蝋の薄さに比例しています。
このローケツで最も大切な事。
厚みの差を意識しながら運筆する事です。
この厚みは蝋の温度、仕事部屋の温度、生地の温度でも左右されます。
他に蝋の材質によっても防染力が違うのでその用途に従って配合を変えます。
ローケツにつかわれる蝋の種類
パラフィン:洋ローソクに使われている蝋で最もポピュラーな物。
安くて、防染力はやや弱め、季節により120°から130°用がある
マイクロワックス:粘りが強く防線力強め。
夏場はその柔らかさを注意、こすっただけで簡単に付く。
木蝋:和ローソクの原料で黄櫨(はぜ)の実から採取する。
防線力は弱いが独特の柔らかいかぶりを見せてくれる。
蜜蝋:正倉院御物の臈纈に使われていると言われています。
インドネシアのバティックには今もこれが使われている。
ロー部分を盛り上げるのに使うが高価で、甘い香りの食用品。
ステェアリン酸:ロー割れを使う時に専ら使われる。
かぶらせる時にも使うことがある。粒状。
カルナバ蝋:常温では石の様に硬い。可成り高価。
専らロー割れに使われステェアリン酸よりきめの細かい割れ。
蝋に混ぜて使う物に、天ぷら油やダンマルなどがあります。
他にも「白ロー」などありますが「遊」では使った事がありません。
ローケツの基本はパラフィンとマイクロワックスの五分五分の配合で決まりです。
後は蝋の種類、種々の温度調節、運筆の具合が上がりを左右します。
御勉強後、改めて上の作品をご覧下さい。
ローケツ作家気分になれましたか?