蝋タタキとダンマルの小紋

  • 2019.03.02 Saturday
  • 06:32

着物通の方なら大抵の方がご存知な「蝋タタキ」

色んな場面で使われてきました。

人間国宝の着物でも。

しかし、最近は見る事も聞く事もほとんど無くなりました。

 

最も早く使われた「蝋タタキ」は平刷毛に溶けた蝋を浸して木の棒に叩きつけて粒状の蝋を生地に振りまくもの。

蝋タタキはそんな光景から名前が付いたのだと思います。

今回ご覧いただくのは刷毛による蝋タタキから進化したエアガンによる蝋タタキです。

お手持ちの紬の生地に「星空の様な」という注文で普通の蝋タタキより少なめにしています。

拡大すると。

蝋タタキは準備と片付けに時間がかかるので専門の工房と職人さんがいました。

今回は久しぶりに我が工房で。

地染めは蝋タタキ専用の刷毛と専用の染め方が必要、ちょっと無理を聞いてもらいました。

 

こちらは「ダンマル」の縞更紗。

ダンマルはローケツの一種ではありますが、使用するのは揮発で溶かした木のヤニ。

蝋は上のタタキの様にはっきりと防染して白く上がりますが「ダンマル」はボヤーとボケて上がります。

蝋より防染力が弱いのです。

なので上がりはソフト。

下絵代りに縞更紗を薄くプリントしてダンマルを筆描きしました。

その上から地染め、ダンマルを落として、ふんわり被った上がりにもう一度上から地染めしたもの。

工程の多さはいうまでもありませんが、その分しっかり味わい深い上がりになりました。

拡大です。

生地に地紋もあるのでより味わいが出ました。

無地なら古代縮緬に味わいがあります。

 

生地代は別として蝋タタキは三万円程度で上がりますが、ダンマルの縞更紗は七万円程度の染加工代となりそうです。

 

雅楽と舞楽のトートバッグ

  • 2019.02.24 Sunday
  • 06:30

神社が主な舞台となる舞楽は日本古来の伝統芸能ですが、ルーツは中国、朝鮮にありました。

それぞれ「左舞」「右舞」と呼ばれ、日本で生まれた「和舞」も加わっています。

本国では既にその文化伝統は消失し日本でのみ受け継がれてきました。

 

舞楽の中で一番よく演じられるのが「蘭陵王」と「納曽利」で番舞(つがいまい)とされ続けて舞うのが通例の様です。

江戸期の木版刷の古書にある蘭陵王。

加筆して細密になっています。

この図を素案にして描き直した蘭陵王と納曽利をプリントして出来上がったのがこちらのトートバッグ。

舞楽愛好者の方から何度もご注文頂いたA4サイズです。

 

今回のご注文は上のトートバッグを既にお持ちの方。

雅楽の「龍笛」を嗜まれるので大きめのB4サイズでのご注文。

今回はこちらの蘭陵王と納曽利はやめて他の舞楽に。

そして、反対側には龍笛を含んで雅楽器を入れる事に。

 

舞楽には「胡蝶」と「迦陵頻かりょうびん」を入れました。

古書で迦陵頻はこんな図です。

実際に各地で演じられる迦陵頻も子供が舞う事が多い様です。

迦陵頻は仏教に登場する想像上の生き物「迦陵頻伽」で上半身は人間、下半身は鳥。

美しい声を発するという事で色んな楽曲が生まれています。

胡蝶と一緒に。

お気づきだと思いますが、装束には丸い紋をあしらっています。

「織田木瓜」で信長が舞楽をよく保護した事に由来するとか。

 

裏側は雅楽に使う楽器を配しました。

大きいのは「楽太鼓」

その右は笙(しょう)、その下が篳篥(ひちりき)、一番下が龍笛です。

笙は見た目より小さなもので、見た目に英国のバグパイプに似ている部分があります。

 

今回使っていませんが、雅楽器の笛では他に「能管」「狛笛」があります。

 

太鼓では楽太鼓の大型「火焔太鼓」は迫力満点。

鼉太鼓(だだいこ)とも呼ばれて東本願寺で見た事があります。

左右一対で火炎の縁にそれぞれ龍と鳳凰が鎮座します。

他に「鶏婁鼓けいろうこ」と呼ばれる首から下げる小太鼓や、デンデン太鼓に似た「振鼓」、下に置いて打つ「鞨鼓かっこ」という鼓に似た楽器も。

 

伝統の雅楽、長く子孫に残して欲しいものです。

 

 

偶然が生み出す絞りの世界

  • 2019.02.08 Friday
  • 06:32

着物の染めは仕上がりを想定してそれに限りなく近づけて進めていきます。

絞りの世界でも同じです。

 

しかし、絞りと言っても仕上がりが不確定な染め方もあるのです。

締める力を緩める事や気ままに絞る場所を変える事、もう一つは秘密、そして偶然が美を発見してくれます。

今回染めた絞りのハンカチがそれに当たります。

想定していない色が現出する事がよくあるのです。

 

 

同じ染料で染めても雰囲気が変わる別物に。

偶然は楽しいですね。

同じものは二度と出来ない面白さ。

染めに使ったのは反応染料、耐光性が強いので注目されいますが、扱える職人が極めて少ないのが現状です。

 

価格は580円、ハンカチなので綿生地。

是非工房で手に取って頂きたいと思います。

革絹の信玄袋と紋ふくさ

  • 2019.01.27 Sunday
  • 06:30

工房では手づくりの和小物を制作していますが、今回試作したのは牛革と絹を使った信玄袋。

男性用に見えますが女性でもお洒落に使えそうです。

少し斜めから撮影、襠を少し取ったので厚みが分かります。

下が牛革、上が濃い鼠に染めた絹。

裏は臙脂色に染めた絹の生地を使っています。

大きさは革の底部分の巾が約17cm、袋の部分全体の高さが約27.5cmです。

価格は¥2,600。

 

日本の家紋はデザインの宝庫。

家紋やそれに類するもので「ふくさ」を作ってみました。

ふくさ(袱紗)と言っても、楽しいと思えば使い方は自由。

面白く作ったものもあるので考えてみましょう。

 

先ずは無地で。

チラッと覗いて見えるのが裏の生地。

 

黒に近いグレーで。

上が「雪月梅花」、下が「一つ帆の丸」

 

色物では紫地に「雪月梅花」と青磁色の「猫の丸」

お洒落で楽しい柄は良いアクセントになるので大きくしてみました。

 

ふくさを広げるとこんな風に。

上を閉じると「月兎」

下は地色違いで紋を大きく。

 

同じ兎でもこんな紋も「夕浪兎」と下はロマンチックな「恋文」

家紋帳に存在する正式な紋なんですよ。

 

そして創作紋「向い猫」

大きさは横が20cm余り、縦が12.5cm余り。

使用生地はもちろん絹、崩れない様に裏との間に接着芯を入れています。

価格は¥1,050。

販売を開始しました。

メルヘンな帯をご紹介

  • 2019.01.12 Saturday
  • 06:35

工房ではメルヘンな帯に人気があって制作を続けています。

以前に作った帯も合わせて幾つかご紹介します。

全く雰囲気の違うものばかり。

 

こちらはぼかしをメインに金糸目友禅で仕上げたフクロウ。

 

シルエットの影に潜む黒猫。

エメラルドグリーンの眼も綺麗でした。

ローケツの堰出しと素描で。

 

こちらはワンちゃんのサンタクロース。

ツリーに向かって舞い降りてきたところ。

お茶の先生がクリスマスのお茶会で召されました。

サンタの拡大。

サンタは白糸目の手描き友禅、ツリーはゴムの筒描きに彩色。

 

こちらは一転、白上げのダルマさん。

ゴムの筒描きという技法を使っています。

シンプルで返ってモダンでもあります。

 

こちらはのどかな田舎風景。

ダルマと似た技法で白抜きした跡を彩色しています。

 

ローケツの極細の線と堰出しで染めた星降る夜空。

夜空の色は紫系。

この帯、関西腹に自分の星座柄が入ると面白い帯に。

 

工房で着物や帯で一番人気のある動物がうさぎ。

うさぎには物語が似合います。

今回はピエロを金糸目友禅で。

音楽会など現代風から民話まで一緒に作ってみませんか。

 

楽しいメルヘンの帯は制作を続けています。

お楽しみに。

お目出度い時にお目出度い着物を

  • 2019.01.04 Friday
  • 07:49

昨年末、お客様からお宮参りの写真を頂きご了解を得たのでご覧頂きます。

お正月にふさわしいお目出度い着姿です。

可愛いお顔はぼかすので見えませんがご想像を。

お客様のご次男様のお子様。

 

初着は「鈴に紫陽花」、地色はピンク地。

紫陽花はお母様のお好みで図柄にしています。

紫陽花は季節的にはずれますが好みの柄を入れるのが誂えの妙味。

喜んで頂きました。

 

以前、長男様のお子様の初着を染めましたが、そちらは「手鞠」

その時も奥様のご縁から図柄としては珍しいチューリップを手鞠の中に入れました。

 

こちらは次男様ご夫婦とお子様。

ぼかしても分かる美男美女のご夫婦。

 

赤ちゃんなのに、可愛いだけでなく既に凛として聡明な事が分かる素顔。

ちょっと驚きです。

どの様に成長されるか楽しみです。

うさぎ柄のネクタイ

  • 2018.12.30 Sunday
  • 09:00

我が工房作品の内、小物で手描友禅のネクタイを作っています。

その中でうさぎ柄が無くなっていたので制作しました。

工房で小物を制作する時全て色違いで染めるのが普通で、ネクタイでも全て地色を変えています。

なので殆ど一点物。

 

前回制作した玄武(亀)と将棋の駒も直ぐ売れたので色違いで制作しています。

その内の将棋の駒と太鼓を叩くうさぎ。

 

こちらは踊るうさぎとゴルフに興じるうさぎ。

 

使用生地に着物の生地を使っているので縫い目が二カ所になります。

色んな別注が来ますが時間を頂ければ可能。

最近では「チヌ釣り」がありましたが、一緒に巾着も染めて欲しいと。

うさぎではロボットと踊るネクタイの他にカエルと踊るという変った別注やサックスを吹くうさぎも。

ネクタイの価格は別注でも同じで3,800円です。

 

今年一年有難うございました。

どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。

来年もよろしくお願い申し上げます。

はんなり半襟の新作と疋田半襟

  • 2018.12.15 Saturday
  • 09:16

はんなり半襟は好評なんですが、左胸に出る所だけに柄付けしていました。

お客様から急ぐ時は位置を決めにくいとご指摘が。

そこで、慌てても柄が出やすい様に数を増やして散らしてみました。

着姿の雰囲気で、手鞠。

地紋は紋意匠の疋田、残りわずかになりました。

 

写真にムラが入っていますが、照明ムラ。

 

こちらは隈取りと音符。

 

手鞠と源氏香。

 

 

千鳥と雪輪。

 

若冲の絵から小蝶と橘。

 

雪花紋とはんなりではない宇宙柄。

宇宙柄は以前ご紹介した事がありますが、今回は黒地ではなく濃いめのグレーです。

価格は宇宙柄が1,500円、それ以外のはんなり半襟と疋田半襟は1,200円。

 

この所、まとめ買いする方が多め、在庫はすぐ無くなる可能性があるのでご容赦を。

 

風通という中が空洞になった疋田地紋の生地を使った疋田柄。

最後に残った生地を染め付けたのがこのバリエーション。

優しい疋田柄はどんな着物でも合わせやすいので、工房でも一番の人気です。

こちらの風通(二重に織ったもの)の疋田生地もこれで一応終了、次回からは違う生地になります。

 

今回紹介した半襟は全てプリント。

生地はもちろん正絹です。

 

紅葉の着物で三つ参り

  • 2018.11.27 Tuesday
  • 08:31

工房のお客様から着姿のお写真を頂き、ご了解を得たのでご披露します。
お家族で三つ参りに行かれました。
お母様の着物は現在京都が最盛期に入った紅葉そのものの訪問着。
先ずは紅葉のお着物、前から。


生地白に臙脂色の濃淡、白胡粉から葡萄色まで濃度差を使って仕上げました。
枝は墨濃淡、青緑の苔も。
霞は艶消しの金銀箔。
ポイントに金糸の刺繍も入っています。

こちらは後姿。


見事な黒地に金糸の橋文様の帯がベストマッチになっています。

この帯は元々茶色地、工房で染め変えました。

キラキラの金糸が濃淡の深みが出てご覧の様に。

常にこれほど上手く染め替えが出来るとは限りませんが。


紅葉の訪問着、凛として艶やか。
我が工房の作品ながら自讃したくなります。

 

三つ参りのお子様と手をつないで。

お子様は家に伝わる三つ参り着物をご着用。
絞りに鶴の刺繍。
ぼかしていても可愛さが伝わります。

 

こちらはおばあ様とお母様の両方と手をつないで。

おばあ様のお着物はつづらに蔦の葉の文様。

 

そしてこちらはご主人様とお母様の両方と手をつないで。

幸せを絵に描いた様なご家族。
着物は良いですね。

工房の行灯がクリスマスバージョンに

  • 2018.11.26 Monday
  • 08:03

只今京都は紅葉真っ盛り。

連休は思いもかけぬ程観光客で溢れました。

紅葉は12月初め迄楽しめそうです。

 

工房の行灯は「遊にゃん」の源光庵の悟りの窓でした。

ロームのイルミネーションも始まったので工房もクリスマスに突入します。

「遊ワン」のクリスマス。

昼行灯から。

 

夜になると。

夜になると工房周辺も真っ暗近くに。

「一隅を照らす」となれば有難い事です。

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